みなさん、こんにちは。
第6弾は「初めてのお相手はちゃんと調べる」という、
いちばん地味で、いちばん効き目のある予防策についてお話しします。
納品したのに払ってもらえない、連絡が急に取れない、担当者が消える・・・・
多くのトラブルは、契約書の文言より前に「相手の素性を見ていない」ことから始まります。
まず、“誰と取引しているのか”を紙で押さえましょう。
■ まず確認すべき「存在している会社か」
・登記情報(商号・本店所在地・代表者)
・会社の目的(事業目的が今回の取引とズレていないか)
・設立年・資本金(極端に薄い資本で大口の発注をしていないか)
→登記簿をきちんと確認しましょう。
■ “名刺の会社”と“契約の当事者”は同じ?
・目の前の担当者が所属している会社と、契約書の相手方は一致していますか?
・「グループ会社だから大丈夫です」「支払いは別会社から」には要注意。
・支払義務者が誰なのか、書面で明確にしておきましょう。
→「どの会社に請求書を出すのか」を1行で言える状態に。
■ その担当者に「決める権限」がある?
・発注・検収・支払の決裁権限を持っているか(役職・社内稟議ルートを確認)
・権限が無い担当者とのやり取りだけで進めていないか
・押印権限者(最終サインする人)と直接話せるか
→権限の無い人との約束は、“約束”にならないことに気をつけましょう。
■ 取引実績・評判は?
・既存の取引先(どんな規模の企業と取引している? 継続している?)
・過去トラブルや訴訟の有無(ネット掲載・官報・業界の口コミ)
→ネット、FB、口コミなど検索してみましょう。
■ オフィスは本当にある?
・本店所在地や営業所を訪問/オンライン会議で複数メンバーに会う
・レンタルオフィス/バーチャルオフィスのみか
・倉庫や設備など、業態に必要な現物が実在しているか
→「現場を見に来なくていいです」は、逆に見に行く理由です。
「そこまで疑うのは失礼では?」と遠慮される経営者の方もいます。でも、本当に信頼できる相手は、逆にここを嫌がりません。
契約は、サインした瞬間から守りに入るのではなく、サインする前から守り始めるもの。
与信と実在確認は、“法務の仕事”というより“経営判断の握り”そのものです。
(田鍋/編集 中路)