著作権の基礎
みなさん、こんにちは。
「著作権」という言葉を聞いたことはあると思います。著作権は著作物を保護するための権利です。著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいいます。
具体的には、小説、音楽、絵画、地図、アニメ、漫画、映画、写真等が身近に存在すると思います。
著作権はいつ発生するのか
では、著作権は、いつ発生するのかというと、これは、創作と同時に発生する権利です。
著作権は、特許権などと異なり、権利の発生のために、特許庁や文化庁等への手続きは必要がありません。そのため、誰しも思想または感情を創作的に表現したときには、著作権を取得することが可能となります。
では、著作権を取得するとどうなるのかというと、自身の著作物の利用を独占でき、また、第三者が無断でその著作物を利用していればそれの排除も可能です。
著作権にはどのような権利があるか
著作権には、どのような権利があるのか、ご存じでしょうか?
ざっとみると、
1.著作者人格権には、
①公表権(18条)
②氏名表示権(19条)
③同一性保持権(20条)
2.著作者財産権には、
①複製権(21条)
②上演権・演奏権(22条)
③上映権(22条の2)
④公衆送信権等(23条)
⑤口述権(24条)
⑥展示権(25条)
⑦頒布権(26条)
⑧譲渡権(26条の2)
⑨貸与権(26条の3)
⑩翻訳権・翻案権等(27条)
⑪二次的著作物の利用に関する権利(28条)等があります。
著作権とは、この人格権と財産権を含む権利であり、特許庁への登録等がなくても、だれでも、取得しうる権利となります。
著作権は何のためにあるのか
思想又は感情を創作的に表現したものである場合、著作権は所有権とは別に生じますので、そのような創作的な表現行為をする方は、取引時にも、著作権の取り扱いを定めることが必要となります。
著作権とは、思想又は感情を、創作物に表現したものであり、制作者が著作物に有する権利となります。わかりやすいのは、美術や写真、小説、映画などです。よく聞くのは、海賊版などの問題やyoutubeやSNSなどに他人の著作物を勝手に掲載し問題になることがあります。
さて、著作権は何のためにあるのか、皆さん考えたことはありますか?
著作権は、特許庁への登録は不要なため、だれでもいつでも、取得しうる権利です。著作権法では、第1条に次の目的規定があります。「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」
整理をすると、
① 著作者の権利等を定めること
② 著作物の公正な利用と著作者等の権利の保護の調整すること
③ 最終的に、文化の発展に寄与すること著作者の著作権が適切に保護されることは、文化の発展につながること
忘れずにいたいですね。
ウェブサイトやシステムにおける著作権
絵画、小説、写真、画像、動画などをイメージしてもらうとわかりやすいですが、著作権はウェブサイト(HPなど)を制作してもらう場合でも重要となります。
最近、政府の補助金などもあって、ウェブサイトなどのシステム開発の取引相談が多いですが、見落としがちなのが著作権の取り扱いです。委託者(依頼者)としては、開発費用を払って納品を受けるのだから、当該システムの著作権も当然自社と認識してしまいがちですが、著作権法上は、そのようになりません。たとえ、システム開発費用を支払ったとしても、創作した人が権利者となります。したがって、契約に伴い、著作権の譲渡がされるかはきちんと定める必要があります。
では、著作権の譲渡を定めないと、ウェブサイト(システム)の内容に全く触れないかというと、著作権法47条の3がありますので、その範囲内は問題ありません。もっとも、機能の強化や当該システムを基礎に、新システムの製作を外注するような場合に、問題になります。見通しがちな著作権ですが、重要な権利となりますので、事前にご確認をされることをお勧めします。
著作権侵害を防ぐ
他人の「著作物」はどのように利用できるのか、どのような場合に侵害になるのか、きちんと理解できていますか?
著作権は、特許や商標などと異なり、登録など不要で、だれもが創作することができる一方、トラブルも増えています。
他人の画像やテキストなど、勝手に、WEBサイトやブログなどで利用して、後で違反と言われるおそれは大丈夫ですか。
著作権侵害のポイントは主に、
- 著作物であること
- その著作権が存続していること
- その著作物への依拠性が認められること
- その著作物への類似性が認められること
- 著作物を利用する権利を有してないこと
になります。
安易なコピーペーストが、著作権侵害と指摘されないよう、他人の著作物を利用する場合、きちんと権利関係の確認をされることをお勧めします。
(田鍋、編集 中路)