公正競争規約
事業者団体の業界ルール、守れていますか?
公正競争規約を制定・運用する事業者の団体として、公正取引協議会があります。全国約80の業種別の協議会があり、不動産、医療、自動車、化粧品、飲料、酒類などあります。
公正競争規約とは、
①不当な顧客の誘引を防止すること
②一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保すること
③事業者間の公正な競争を確保すること
を目的として、【表示】と【景品類】に関して、参照すべき業界ごとのルールとなります。
顧客獲得のために、事業者が有利・優良を強調する広告を出している場合、業界が定めている競争規約に抵触する場合には、景品表示法に基づく処分の対象になる可能性があります。
あなたは自社の業界が定めている競争規約を確認したことはありますか?広告・マーケティングを行うにあたっては、一度は見てみること、もしわからないなら、相談されることをお勧めします。
どういう表示がいけないのか
商品・サービスの品質や価格について、実際よりも著しく優良又は有利であると見せかける表示は、景品表示法で禁止されています。では、どのような表示が問題なのか?
優良誤認表示は、商品・サービスの品質規格その他の内容についての不当表示が禁止されています。具体的には、●●使用率が60%なのに、●●使用率100%と表示する行為がが違法となります。
有利誤認表示は、商品・サービスの価格その他取引条件についての不当表示が禁止されています。具体的には、当選者●人だけが割安料金で購入できる旨表示していたが、実際には、購入者全員を当選とし、全員に同じ料金で契約させていたような場合となります。
消費者を誘引するために広告表示は重要ですが、景品表示法に反しないよう不当な表示にならないよう留意をしてください。
景品表示とステマ
先日河野消費者大臣が、広告であることを隠して商品などを宣伝するステルスマーケティングについて、政府は景品表示法が禁じる不当表示として指定しました。
ステマとは、広告主がSNSで影響力のあるインフルエンサーなどに対価を支払って個人の感想であるかのように装い商品やサービスを宣伝してもらう行為で、広告であるのにそれが表示されないことで、消費者の商品選択に悪影響を及ぼすものと問題視されていました。
景品表示法は、特定の表示の記載を義務付けるものではありません。消費者に誤認などを与える表示を規制する法令となります。
ステマ規制は、令和5年10月1日からとなります。どのような場合にステマ規制に該当するかは、
今回、詳細な運用基準や考え方が示されているため、事業者はよく確認をすることが必要です。
ステマ規制のポイントの一つは、広告主が指示や確認など投稿内容に関与したと認められるか否か、【関与した】とはどのような場合であるかを、きちんと把握することが必要です。
景品表示法は、消費者への誤認などを防止するものとなりますので、事業者は、消費者へ誤認などを与えることがないような広告を心がけることが求められます。
不当な表示について
「この表示、問題ないですか?」と事業者から相談を受けますが、チラシ広告などでは、景品表示法に違反しないことが大切です。
景品表示法は、事業者が自己の供給する商品・役務の取引について、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある表示を禁止しています。
表示規制の対象範囲には限定がないため、ホテルや百貨店、レストラン等が提供するメニュー・料理等の表示もすべて景品表示法の規制対象となります。
では、飲食などにおいては、どういった表示が具体的に問題なるでしょうか?
考え方としては、「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について」というガイドラインが参考になります。
ガイドラインによれば、飲食店などのメニューでは、「優良誤認表示」がよく問題になります。
「優良誤認表示」に当たるかは、実際のものとその表示から受ける一般消費者の印象・認識との間に差が生じて、その表示が商品・役務の内容について著しく優良であると示すものといえるかによって判断されます。
では、次のケースでは、皆さん、どう思いますか?こちらはガイドラインでもQ&Aとして記載されています。
Q:飲食店において、牛の成形肉を焼いた料理のことを「ビーフステーキ」、「ステーキ」と表示しても問題ないでしょうか?(成形肉・・牛の生肉、脂身、内臓等に酵素添加物や植物たん白等を加えるなどして人工的に結着し、形状を整えたもの。結着肉、圧着肉ともいわれる。)
あなたは、「ビーフステーキ」「ステーキ」という表示をみたときに、それが「牛の成形肉を焼いた料理」だったら、どう思われるでしょうか?
(田鍋/編集 中路)