取引の継続を保つために
みなさん、おはようございます。
弁護士の田鍋です。
どんな取引を期待しているのか
お客様との取引の在り方は、ケースに分かれると思います。一般消費者とであれば、単発であるかもしれないし、企業であれば、継続的であるかもしれません。
また、不動産の賃貸や資材・原材料の供給などの場合も、継続的であるケースがあると思います。
取引の種類・性質・内容により、継続性を求めるのか、変わるとすれば、自然と契約条件・契約書の中身も変わってくるはずです。
より継続しやすいように、
- 取引期間の定め方
- 更新条項の容易性
- 中途解約の制限
- 厳格化定期打ち合わせ
- 連絡協議会の設置
- 軽微な問題による解除の制限
などが挙げられます。
相手との間でどのような取引をしたいかを考え、それに適した契約書を提示し、相手方と取り交わし、事業を行う。それが望ましい取引の在り方と思いますが、なかなかそこまで考えられていない中小企業は多いと思います。
継続的に取引をしたいと考えていたら、いきなり来年取引停止!、期間満了だからと言われて困らないように、早めの対応を考えましょう。
取引のルール
企業が取引をするときに、
- 取引内容をどこまで相手方に説明をすることが必要でしょうか?
- 契約書の全部を読むことは必要でしょうか?
- 取引相手が企業や一般消費者で異なるのか?
- 説明の方法は、口頭なのか、文書でしなければならないのか?
- 文書だとすれば、記載の方法・文字の大きさなどには規制はあるのか?
- 取引条件は相手方が合意をしさえすれば、自由に定めてよいのか、何か制限はあるのか?
あなたが取引をされているときには、いかがでしょうか?
先日、ある企業から本体のサービスに第三者が提供している商品をセットで売り出し購入することが独禁法の拘束条件付き取引に該当しないか?という相談を受けました。
最近多い相談となりますが、自社が行う取引方法のルールをきちんと把握されたら、上記の悩みの多くは整理できると思います。
一度きちんと知りたい事業者の方は、ご連絡いただけたら幸いです。
紹介での取引の注意点
取引のきっかけが、「紹介」であることは、結構多いと思います。
長年の信頼関係ある知り合いからの紹介もあれば、まだ関係が浅い中でどんどん紹介をしてもらい取引の開始となる、という事もあると思います。
「紹介」を通じて取引するときには、「紹介者」の地位・関係等も踏まえ、一定の信頼関係が生じていることがあると思いますが、そこにリスクがあります。
それは、「紹介」だからということで、きちんと取引・契約関係の内容を精査しなかったり、紹介された人物・企業情報の確認検討を怠っていたり、また、口頭で取引をしてしまうという問題です。
さらには、「紹介」であることから、取引上の不満があっても、なかなかそれを適切に主張していないという場合もあります。
「紹介」を通じて取引する場合でも、
- 取引相手はどういう人物・企業か?
- 信頼できる客観的な根拠・実績はあるか?
- 初めての取引だが、リスク防止は十分か?
- 問題が生じた場合、きちんと主張できる内容になっているか?
- 取引条件を文書化しているか?
など確認されてから取引を開始することをお勧めします。
値上げ・値下げと言われたらどうするか
原材料の高騰、戦争、コロナなど、様々な社会情勢、景気動向により、最近は、値上げ・値下げ交渉が頻繁に行われています。
継続的な契約では、その性質上、価格の変更・改訂に関する条項があるのが通常ですが、実際に行使されると、慌ててしまうケースがあります。
特に、1年ごとの契約で、更新条項になっていたり、中途解約規定があるため、価格改定に応じないと、取引停止など言われてしまい、非常に困るケースがあります。
こうした事態を回避するためには、契約締結時や更新時などにおいて、きちんと契約の継続性を明記したり、当事者間で継続を前提とするやりとりを記録に残すことなどが有益となります。
いきなりの価格改定等の協議がされても、混乱することがないよう、事前の準備が必要だろうと思います。
契約書は誰が作るか
契約交渉し、契約書を締結するとき、あなたの会社では、どちらが、契約書を出していますか?
あなたの会社の契約書を利用する場合もあれば、相手に提示をしてもらう場合もあると思います。
一律にどちらにしなければならないということはありませんが、面倒だから、相手に提示してもらうようなやり方はあまりお勧めはしていません。
理由は、契約書というのは、
- 互いの債権債務の内容の特定と確認
- リスクの削除・回避・制限
- 不測の事態の対処
等を定めるため、相手側の契約書では、①〜③が相手方にとって、不利益になっていない(=自分たちに不利)ことが多いからです。
せっかく契約交渉で頑張っても、最後に締結する契約書の一条項が自分たちの認識と違っていたら?
そのようなことがないようにするためにも、少なくとも、契約書の作成・締結まで、気を抜かないことをお勧めします。
(田鍋/編集 中路)